(1)構図
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“構図”とは画面内にあらゆるものごとを配置よくまとめる作業です。これは絵画や写真の世界では作品のよしあしを決める重要なポイントの一つです。人物や花びんなら、どまん中にすえて、安定感をあらわすとまず無難といえるでしょう。
しかし、劇画の場合、ひとコマの構図そのものをとりあげて解説することは、無意味といわないまでもたいへんむずかしいことです。
なぜなら劇画は、一コマ一コマが独立して意味をなすことは少なく、小さな画面であるコマがつながり合って、そのコマの流れによってドラマを表現する方法が多く用いられているからです。
したがって“構図”として考える場合は、むしろ1ページを単位として(場合によっては見開きの2ページ)、人物の顔の配置、顔の向きの方向、コマの大きさのバランス、などによって画面(1、または2ページ)を構成する工夫をします。
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ただし、一コマで重要な意味のある画面、風景を見せて物語の舞台を説明したり、家、電話器、家具、置きもの、などを描写して挿入する場合、やはりそれぞれが一枚の人物画、風景画、あるいは静物画として、構図はおろそかにできません。
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いい構図とは、まず安定感を感じさせます。それには、その画面に描きこまれているもの、人物、背景、いろんな物体、そのほか斜線や黒ベタ、ふき出しまで、あらゆる物がバランスよくつり合っておかれているように配置されていなくてはなりません。
ひとつの目やすとして「黒っぽいものは重く、白っぽいものは軽い」という感じで、ちょうど天びんにかけるようにコマの中にバランスよく配置する方法があります。 |
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どうしても画面構成上、片がわにだけ「重み」を感じるような場合には、その反対がわに斜線などを入れてバランスをとると、安定感のある画面にかわるものです。
しかし、劇画の場合、わざとアンバランスな構図をつくって、その不安定な感じを効果として使う場合が多くあります。
したがって、構図もストーリィの進行におおいに関係があるわけで、その良し悪しはいちがいにいえません。
劇画の画面構成のうえでとくに重要視されているのは、ディスタンス(距離)とアングル(角度)です。
人物でも背景でも、また車や建物を描く場合でも、いつも同じ大きさ、同じ角度から描いていては、見る人(読者)にあきられてしまいます。そのためにつねに画面に変化とおもしろ味を出す工夫をしようというのがこれです。 |
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(2)ディスタンス(距離)
映画用語で対象物とカメラとの距離をいいます。カメラが近づけば大写しとなり、離れれば小さく写るのと同じように、劇画では対象物を見る位置をいろいろかえて、大きく描いたり小さく描いたりする方法です。
(イ)超ロング
遠い所のものを広いはんいにわたって表現するときに使う。 |
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(ロ)ロング
ふつうの遠距離。人物と背景について同時に表現したいときに使う。
(ハ)セミロング
人物なら全身像ぐらいのもの。からだの動きを表現するときに使う。 |
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(ニ)アップぎみ
人物ならバストサイズ(胸から上)の大きさでとらえたもの。会話シーンなど、このサイズを使うことが多い。 |
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(ホ)アップ(クローズアップ)
人物なら顔だけ、あるいはもっと大きく目だけを描いたりする。人物の表情をはっきり出したいときなどに使う。大写し。 |
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(へ)ズームアップ
人物なら一度ロングで描き、人物とまわりの関係をあらわしたあと、そのまま引きつけるようにアップ(またはアップぎみに)描く。いわば“だめ押し” |
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(3)アングル(角度)
これも映画用語で対象をとらえる角度のことをいい、カメラアングルなどと使います。
その対象物を描くとき、どの角度からとらえて描くのがいちばんいいか、状況に応じていろいろと変化を考えましょう。
(イ)ハイアングル(ふかん)
ま上。ななめなど、上から見おろした角度のもの。 |
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(ロ)ミディアム(中間)
対象物を目の高さぐらいから見たもの。読者に臨場感(自分がその場面にいるような感じ)をあたえることができる。劇画や映画で多く用いられる角度。
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(ハ)ローアングル(アオリともいう)
低い位置から見上げたもの。建物や木の高さを表現するときに使うと効果的。 |
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(4)ディスタンスとアングルの組み合わせ
ディスタンスとアングルはつねに関連しあっているもので、べつべつに考えることはありません。
たとえば、人物を 「セミロング」 で描くとしても 「ハイアングル」 と 「ローアングル」 では、がらりとちがった画面になります。
また、同じ「ハイアングル」でとらえた人物でも「ロング」と「アップ」では、かなりふんいきのちがった画面になります。
例図を見くらべればそれぞれの画面のもつ主張(表現しようとしていることがら)がちがったものであることがわかるでしょう。
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| (A)人が走っているシーンとしては、どちらが“迫力”がありますか?
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(B)、デートのムードをうまく“説明”しているのは、どちらですか?
――すぐにおわかりのことと思います。
このように、同じ一つのシーンでも、その描きかた、ディスタンスとアングルをかえるだけで、その画面のもつ主張、いいかえればその画面の“役目”がちがってきます。
ですから、そのとき、その情況におうじて、その画面の役目は何であるか、主張したいこと、表現したいことをよく考え、それらのことがらをいちばん適切に描きあらわすにはどんな角度から、どのくらいの大きさにすればいいのか、ということ、つまりディスタンスとアングルをいろいろ組み合わせて考えるようにします。
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