デビュー作〈空気男爵〉
昭和30年/1955年(大阪 日の丸文庫)

●記念すべきデビュー作は怪奇探偵冒険漫画
 18歳の時に描いたデビュー作である。家業の理容室のかたわら、この作品を描き上げた。当時関西では貸本ブームで、大阪の日の丸文庫はその代表的な出版社だった。
 さいとうは、この作品を書き上げると日の丸文庫に持ち込み、社長から単行本にしてもよいと言われた。 ただ、せりふの文字が小さくなるのでふきだしを大きくするようにという注文をつけられた。ふきだしの直しにとりかかるうち、どうしても構図が変わってくるため、思い切って前面的に書き直したものの、まだ気に入らない。そうして納得がいくまで描き直して原稿を完成させたのは、最初に日の丸文庫を訪れてから1年近くが経っていた。
 その間、描き直しに夢中だったさいとうは経過報告もせずにいたが、日の丸文庫の社長は半ばあきれながらも、笑いながら出版に応じたという。この『空気男爵』は貸本ブームの中で大ヒットとなり、日の丸文庫社長の見る眼の確かさを証明する形となった。

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