ゴルゴ13名エピソードガイド 第442話「極寒の大地」

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ゴルゴ13 名エピソードガイド 第442話「極寒の大地」

 

狙撃が困難な条件下でゴルゴがいかにして依頼を遂行するのか、想像もしなかった手段で仕事を終えたクールなゴルゴの顔を見るのが読者の大きな楽しみのひとつだが、南極を舞台にした「極寒の大地」はちょっと趣が違う。

 

 

仕事自体はそんなに難しいものではなかったハズだが、ゴルゴにも予想出来なかった事態が起きてしまう。身一つで極寒の南極に投げ出されてしまうのだ。ということで我々がこのエピソードで楽しめるのはゴルゴの恐るべきサバイバル能力である。生き残るためにゴルゴが披露したテクニックはどれも実際に存在するもので、そのリアイリティには驚嘆するしかない。

 

 

作中でロシアは秘密裏にレアメタルを掘削しているが、日本の約36倍の広さを持つ南極大陸には実際に豊富な鉱物資源が眠っていると言われている。未解明の部分が多く、様々な国が南極の鉱物資源に高い関心を示すも掘削技術の問題があった。氷で包まれた大地は簡単に人間の手を受け入れなかったのだ。2004年6月掲載の「極寒の大地」は新しい掘削技術を巡って起きた争いが発端になっている。そして、2006年にアメリカでシェールガス革命という掘削技術の画期的な革新が起きたのをご存知だろうか。掘削が困難だったシェール層を掘削する技術が生まれ、天然ガスや原油が大量に採れるようになったのだ。南極とアメリカという違いはあれど、採掘技術の進化にいち早く着目してしている点もさすがである。

 


ちなみに劇中に登場する「南極の子」は実在する。アルゼンチンが南極領土権主張のために70年代後半に南極のエスペランサ基地で出産させるという政策を行い、8人が南極で生まれたという記録がある。彼らは「南極ベビー」と呼ばれている。

 

 

Writer

今秀生