ゴルゴ13名エピソードガイド 第402話「1億人の蠢き」

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ゴルゴ13 名エピソードガイド 第402話「1億人の蠢き」

 

中国共産党が易姓革命を恐れて、信者1億人とも言われる新興宗教団体・金鵬来を弾圧を進めるためにカリスマ始祖である柴洪史の暗殺をゴルゴに依頼する。

 

 

易姓革命とは民衆の不満が時の新興宗教を後押しし権力を倒す事を良しとした、戦国時代の孟子に端を発すると言われるほど深く根付いた思想だ。したがって中国は宗教を国家によって管理しようとする傾向が強い。国家宗教事務局が公民の宗教活動を厳しく管理し、認めている五大宗教(仏教、道教、イスラム教、カトリック、プロテスタント)以外の宗教を監視しているのだ。

 


そんな状況下でも近年中国で勢力を持った新興宗教が「全能神」と「法輪功」だ。「全能神」はキリスト教系の新宗教で1991年に創始された。政治的にかなり過激で共産党を強く批判、打倒を掲げていた。邪教認定した政府によって厳しく取り締られている。「法輪功」は李洪志が1992年に立ち上げた気功の団体が元になっており、経済格差でこぼれおちた市民を中心に信者を増やした。

 

取り締まる政府と真っ向からぶつかり、始祖の李は1996年にアメリカに亡命している。1999年には全国人民代表大会において「邪教組織の取り締まり、邪教活動の防止・処罰に関する決定」が採択され、法輪功は非合法組織の邪教として認定されることになる。

 

 

中国政府が特に怖れたのは、インターネットを巧く活用して信者を増やしたり活動を拡げていった点だろう。実際、法輪功の信者が中心となってアメリカで世界インターネット自由協会(GIFC)という組織を立ち上げ、 独裁政権によって設置された世界中のファイアウォールを破ることができる迂回ソフトを開発し配布したりしているようだ。今回のエピソードに登場する金鵬来は恐らく法輪功をモデルにしていると思われる。


「1億人の蠢き」は2001年1月に描かれてるが、この金鵬来 は2007年8月に描かれた増刊96話「復活・羅刹鳥」にも登場する。今度は弾圧に関わった旧共産党要人が次々と暗殺されていく話だ。

 

 

Writer

今秀生