ゴルゴ13名エピソードガイド 第495話「高度1万メートルのエピデミック」

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ゴルゴ13 名エピソードガイド 第495話「高度1万メートルのエピデミック」

 

1万メートル上空をカイロからニューヨークへ向けて飛行中の旅客機内で謎のウィルス感染者が見つかり機内はパニックになる。さらに感染を恐れた副操縦士が操縦室を占拠、ウィルス拡散を防ぎたいホワイトハウスによる指示を無視して無理矢理ニューヨークに着陸しようと暴走してしまう。

 

高度1万メートルを秒速250メートルで飛ぶ旅客機に戦闘機で近づき、ゴルゴはホワイトハウスから課せられた2つのミッションに挑む。まるでハリウッド大作映画のような密度で次から次へと見せ場が続く。ちなみにエピデミックとは限られたスペースで伝染病が流行することで、これが世界的に拡大するとパンデミックと呼ばれるようになる。ウィルスを扱ったエピソードといえばゴルゴがエボラに感染してしまう名作第343話「病原体・レベル4」があるが、本作でのゴルゴの役割はトラブルシューティングで感染はしない。

 


アメリカへのテロとして用意されたウィルスは天然痘を変異させた生物兵器であった。天然痘はWHOによって1980年に地球上からの根絶宣言を発せられており、現在自然界においては存在しないとされている。人類が根絶出来た唯一の感染症なのだ。しかしそれだけに現在予防接種等は行われておらず、免疫を持っている人はほとんどいない。

 

 

もし生物兵器として使用された場合は致死率が高い上に短時間でかなり広範囲に拡がると予想されており、例えば米国CDCは天然痘ウイルスを最も危険度の高いカテゴリーAに分類している。本作は2009年に描かれたが、なんと2015年には天然痘ウイルスの人工合成が技術的に可能になったという発表があった。またしてもゴルゴの世界は先を行っていたのであった。

 

 

Writer

今秀生