「さいとう・たかを “画”を語る」〜その2〜

 | 

 

画稿を切られてしまった!?

 

 

──イラストを見ていきます。連載第1話「ビッグセイフ作戦」の頭の色ページから(1)。

 

全部自分で描きました。扉絵は、しばらくの間、スタッフの手は入れさせていませんでした。彩色も、もちろん自分でやっています。見開きページは、有名な〝飾り窓〟のシーン(2)。

 

次ページはネオンが赤、青と点滅しているイメージをバックに、ゴルゴが下着姿で立っている(3)。すっかり有名になったゴルゴの初登場シーンです。

 

 

    

 

 

2話「デロスの咆哮」(4)には、カラー画はなかった。しかし、この顔、ゴルゴと違うじゃない(笑)。まだ絵が固まってなかったんですね。一応、外見的には故・高倉健さんを意識していたんですが。私は、主人公の顔、自分で変えたつもりは一度もないんですけども。こうして振り返って見ると、全然違ってますね。最初の頃は、ゴルゴの顔は逆三角形に描いていたんですが、バランスとるのが難しくて、だんだん嫌になって、自分の描きやすい今の形になりました。

 

3話「バラと狼の倒錯」(5)。この見開きはさいとう・プロのチーフアシスタントを務めてくれていたモッチャン(故・武本サブロー氏)が描いていますね。

 

それより2色画稿は随分サイズが小さいな… …(6)。あ、天地左右が切られちゃってるのか! 当時の製版の都合で、切られたんでしょうね。画稿を切るなんて、今では考えられませんよね(笑)。

 

 

     

 

 

この2色画稿に登場する女性は、私が描いていますよ(7)。まぁヘタなこと。

4話「色あせた紋章」(8)。なんて気持ちの悪いゴルゴの顔だ(笑)。

 

 

 

  

 

 

次ページ(9)のこのシェパード犬や吹雪の画は、さいとう・プロのスタッフのもので、私じゃないですね。

2色の「ズキューン」という書き文字を見て下さい(10)。線がまっすぐでしょう。昔はゆがまなかったんです。当時は、線を引く時に定規を使うのは良くないという風潮があったんです。だから、すーっと引いた。先ほどお話しした、尾形先生の指導が役に立ったんでしょうかね。もっともこの年になると……さすがにゆがみますよ(笑)。

 

 

  

 

 

5話「檻の中の眠り」(11)は、構図も色使いも凝ってる。いろいろと構成や構図を試していた時期でした。読者の皆さんにどういう風に見せようかと、常に意識していました。的外れの時もありましたけど。こうして見ていると、今は、わかりやすい、簡単な構図をとりすぎているかもしれませんね。見開き絵の水しぶきは、私が描いたものです。水彩画っぽい雰囲気が出ています。

 

 

 

 

──次は60年代末から70年代にかけての名シーンです。

 

南仏海岸  コートダジュール」(12)では、1段目の絵を下の段でコピーして使っていますね。当時コピー機、もうあったんですね。今はスタッフの力量を図って、「これは、描けんな」とか思うと、構成変えたりするんですが、当時は私のイメージそのままを、石川はん(故・石川フミヤス氏)にしろ、モッチャンにしろ、スタッフが必死に画にしようとしてくれていました。

 

 

 

 

 

〜その3〜 に続く...

 

 

 

※当インタビュー記事は「さいとう・たかを[ゴルゴ13]イラスト画集」に収録されたものを抜粋して掲載しております。

 

 

TAKAO SAITO WORKS

"Duke-Togo"GOLGO13 HISTORY!!

さいとう・たかを[ゴルゴ13]イラスト画集

著者 さいとう・たかを

発行者 大村信

発行所 小学館