「さいとう・たかを “画”を語る」〜その3〜

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見開きの画に1週間も!

 

 

WHO!?」(13)。この女性は私が描いています。左ページの下にタイトルを入れたんだ。変わったことをしてますねえ(笑)。随分楽しんでやっていた記憶があります。

 

 

 

 

おおっ、「価値なき値」(14)の見開き、これは凝ってるなあ。印象深い絵です。藤尾氏(故・フジ山城氏)が描いたもの。この見開きに、彼、どれだけの日数かかったと思います? なんと……1週間。始めから藤尾氏に描いてもらおうと思って構成していますね。今は、連載1回分のページ数が少ないこともあって、こういう構成はとれなくなっています。時間をかけただけの価値のある、実に迫力ある画ですよ。

 

 

 

 

17人の渇き」(15)。これも全部、私が描いていますね。今のゴルゴとえらい違うけどね。

 

 

 

 

で、「ある視点」より(16)って、これ何だろう?

 

 

──1枚絵で見せる、「ビッグコミック」誌のコラムでした。

 

へえ、覚えてないなあ。でも、確かに、全部自分で描いていますよ、これは。

ビッグコミック増刊9集表紙(17)は、画稿自体が大きいので、天地左右、少し切れているけど、これも銃以外は、全部私が描いています。

 

 

  

 

 

落日の死影」(18)。これは直木賞作家の故・船戸与一氏に脚本協力いただいた、有名な作品です。アメコミ(アメリカン・コミック)風なタッチでやってみました。脚本を読んだ段階で、この話は、こういう描き方が面白いんじゃないかと思って、一回だけ試しにやってみたんです。一回だけでしたが(笑)。

 

 

 

 

サタデーナイト・スペシャル」(19)の構図は私がとっていますが、左ページの人物のアップは石川はんで、仕上げはモッチャンかな。当時は見開きを効果的に使っていました。最近は、大ゴマを使用することが減ってしまいました。もったいなくて(笑)

 

 

 

 

スティンガー」(20)の絵は、よく覚えています。これ、スタッフに描き直してもらったんです。左ページの水しぶきが、横に少ししか飛んでなかったんです。ここでゴルゴは飛び上がっているんだから、もっと激しく水しぶきが上がらなきゃおかしいだろうと。そこで描き直してもらって、この雰囲気が出せました。

 

 

 

 

 

〝護留護天(ゴルゴてん)〟という名前が思いついた

 

 

 

──最近の画稿では、「ロンメル将軍の財宝」(21)と「ドローン革命」(22)「アームストロングの遺言」(23)の4色ページは、すべて掲載しました(※(21)~(23)デザイン済み)。 

 

 

今は、4色画稿の色はスタッフに塗ってもらっています。あと扉絵にしても、中にしても、デザイナーの方にタイトルを入れていただき、デザインしてもらっています。パソコン上でなんでもできるようになったでしょ、凄い時代ですね。

 

 

    

 

 

高度1万メートルのエピデミック」(24)を見てほしいのですが、タイトルや話数、ドクロのマークの入る位置などを私が指定して、デザイナーの方と編集部にお任せしています。昔は、タイトルも自分で描いていたんですよ。デザイナーの赤松育延氏による書体が気に入りまして、ずっとやっていただいていたのですが、亡くなられまして。今はデザイン会社の方に、赤松氏と同様の書体で作っていただいています。

 

 

 

 

 

──連載作品とは別に、ユニークなゴルゴも描かれています。

 

 

甲冑ゴルゴ〟ね(25)。日立システムズさんからの依頼で描いたものです。兜の前立てに日立の〝Hのマーク〟があるでしょう。

次の見開きは、「漫画家による仏の世界展」用に描いたもの(26)。大先輩の故・小島功さんからのお声がかりで、さまざまな漫画家の方に仏様を描いてもらう企画でして。悩んでいたのですが、〝護留護天〟という名前を、ふと思いついたんです。それで描きました(笑)。思いのほか評判が良かったですね。

 

 

  

 

 

──この画集のカバー絵(27、28)は、珍しいものです。

この画は、アメリカで翻訳出版した『ゴルゴ13』表紙イラストの一枚です。アメリカでは、本が左開きになるのを頭に入れて描いたもので、タッチも、少しアメコミ風になっています。

 

 

  

 

 

自分の原稿に他人の手が入ることが気にならないかと、よく聞かれますが、まるっきり気にしていません。むしろ、劇画の共同制作というシステム考えた最初から、他人の手が入るのは当たり前、そうなるべきだと考えていました。多彩な才能を結集しての〝さいとう・プロ作品〟ですから。逆に言えば、さいとう・プロのスタッフの方々がいなければ、連載は続かなかった。この場を借りて、感謝申し上げたいです。

 

画稿全体を見た感想ですか……。やっぱり、私が一番下手ですね(笑)。

 

 

 

 

 

2017824日 東京・中野のさいとう・プロダクションにて

写真/小倉雄一郎 (小学館)

 

 

※当インタビュー記事は「さいとう・たかを[ゴルゴ13]イラスト画集」に収録されたものを抜粋して掲載しております。

 

 

TAKAO SAITO WORKS

"Duke-Togo"GOLGO13 HISTORY!!

さいとう・たかを[ゴルゴ13]イラスト画集

著者 さいとう・たかを

発行者 大村信

発行所 小学館