<書誌情報>
原作: 宮部喜光
作画:山本おさむ
小学館 ビッグコミックオリジナル掲載
<作品紹介>
子育ても一段落した初老の夫婦。その夫で23年前に孤独死した父を野辺送りした際の壮絶な記憶を抱えた主人公は、静かに自らの人生、そして父の人生に思いを馳せ、向き合い始める……
▼受賞者コメント・プロフィール
原作/宮部喜光 氏(みやべ・きこう)
<コメント>
劇画界に偉大な足跡を残されたさいとう・たかを先生の名を冠した賞を頂けることは、望外の喜びです。本作は亡き父への思いを綴った私小説的な物語で、両親を思い出すとき今でも胸が熱くなります。この作品が多くの方に読まれることで、思うように生きられなかった父がどこかで報われたような気がしています。
作品を書く機会をいただき、見事に漫画化してくださった山本おさむ先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
<プロフィール>
高校卒業後に上京し会社員やアルバイトを経て漫画家アシスタントに。
山本おさむ氏に師事して三十五年。怠け者を自認しながら制作に携わる。
作画/山本おさむ 氏(やまもと・おさむ)
<コメント>
さいとう先生とは、パーティーでお会いして挨拶し、記念撮影をしていただいた事がありましたが、あの時足を止めてもう少しゆっくりお話ししとけばよかったと、今になって後悔しています。先生は漫画の領域を児童向けから成年向けへと大きく押し広げた劇画の雄であり、私などはその恩恵にあずかって漫画家稼業を続けられたようなものです。
この度の受賞により、中学生の頃「無用ノ介」をドキドキしながら読んだ時の喜びと、さいとう先生に同業者として「ポン」と肩を叩いていただいたような喜びとが交錯し、作品が報われたような充足感を味わっています。選んでくださった審査員の皆様にも感謝申し上げます。
<プロフィール>
1954年生まれ。1980年にデビューし、『遥かなる甲子園』から聴覚障害者をテーマにした作品を描き始める。重度障害の子供たちを描いた『どんぐりの家』(「ビッグコミック」連載)で第24回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。他の代表作は『聖 -天才・羽生が恐れた男-』『そばもん』『赤狩り』など多数。
担当編集/加藤辰巳 氏(かとう・たつみ)
<コメント>
山本おさむ氏の人の機微を厳しく描写する姿勢を尊敬し、『そばもん』の途中から現在連載中の『れむ』まで担当させていただきました。自らも契約社員で厳しく生きる主人公が生活保護を受けかつて酒乱であった父を弔う……宮部氏の重厚な原作を、山本氏が圧倒的な筆致と見事な構成力で漫画化した本作。今回の受賞を心よりうれしく思います。
そういえば、新入社員の時おっかなびっくり山本氏を訪ねて行ったのは、エロい漫画やバイオレンス的漫画が多かった当時の趨勢の中で、なぜ氏は障害者を描かれるのだろうと思ったからでした。スターも良いけれど、陽の当たらない所で足掻きながらも生きているそんな人たちを見事に描く山本氏の漫画。今回の受賞で氏の漫画に触れる人がもっともっと増えれば編集としてこれ以上の喜びはありません。
<プロフィール>
1989年小学館入社。ビッグコミックオリジナル編集部に配属。以降、ビッグコミックスピリッツ編集部、ビッグコミック編集部を経て、現在はビッグ企画室とビッグコミックオリジナル編集部兼務。担当した作品に、村上もとか『蠢太郎』、山本おさむ『赤狩り』、伊藤潤二『人間失格』、香川まさひと・月島冬二『前科者』など。
▼選考委員コメント(寸評)
秋本治 氏
タイトルの付け方が凄く、作品の出だしから力強く引きこまれます。重いテーマですが、実力あるベテラン山本氏と、よき原作が合体した名作となっています。ビッグコミック読者にも刺さる大人のテーマです。リアルな背景、人物描写など原作、作画が一体となったリアルな描き方ですが、ドキュメント映画の様に冷静に読めました。ラストもよかったです。
小山ゆう 氏
高齢者の私にとっては、一番心に響いた作品でした。
画力にも熱量が伝わって来たし、こういった作品に賞を与えて欲しいと思います。
佐藤優 氏
シリアス(深刻)な問題を最後まで真面目に描ききっている。特に孤独死の現場の凄惨な状況の描写が見事だが、読んでいて途中で息苦しくなることもなく、最後まで作品に引き込まれて、一気に読み切ることができる。人は親を選ぶことはできない。客観的に見れば幸福とはいえない主人公が、前向きに世の中を生き、妻と共に小さなしあわせを作り出し、一人娘に大学教育を受けさせ、独り立ちさせるまでの過程が、言葉と絵では描かれていないが、想像することができる。こういう描かれていない物語を想像させる力量がこの作品の原作者と漫画家にはある。素晴らしい才能だ。原作者と漫画家の魂が一致していないとこのような作品は成立しない。
長崎尚志 氏
マンガで純文学に挑戦した作品。高い質の完成品だと思う。通常なら自分は、エンタメ作品として『ガス灯野良犬探偵団』か『ふつうの軽音部』を受賞作に推すと思うが、この作品を落としていいのか、と自問自答してしまった。やはり賞の候補として挙げるべきだと思う。
一次選考を経て、第9回さいとう・たかを賞ノミネート4作品が決定いたしました。(作品名50 音順、敬称略)
結果は最終選考会を経て、2025年12月10日(水)にさいとう・たかを賞ウェブサイトおよび「ビッグコミック」誌面にて発表いたします。
■選考対象
シナリオライター(脚本家)と作画家の分業により制作されており、2022年9月1日〜2025年8月31日の期間中にコミックス第1巻が刊行されているコミック作品。また同期間に発売されたコミックスを選考対象とする。
※オリジナルシナリオ作品(スピオンオフ作品を含む)に限ります。
※同人誌やWEB媒体のみでの掲載等、商業出版でのコミックス化がされていない作品は対象外とします。
■応募方法
担当編集者による応募のみ受け付けます。(編集部単位でまとめての送付も承ります)
対象作品のコミックス既刊全巻とエントリーシートの提出が必要です。
コミックス既刊全巻とエントリーシートいずれも郵送の場合は、以下の住所に送ってください。
エントリーシートをメールで応募の場合は、saito_takao_award_2021●saito-pro.co.jp 宛(●を@に置き換え)で、件名を「第9回さいとう・たかを賞応募」にて送り、コミックス既刊全巻は以下の住所に送ってください。ご応募に際しお送りいただいたコミックス・エントリーシートは返却いたしません。予めご了承ください。
〒164-0001
東京都中野区中野1-55-3
一般財団法人 さいとう・たかを劇画文化財団
「さいとう・たかを賞」係
■選考方法
さいとう・たかを劇画文化財団内にて一次選考を行ったのち、秋本治氏、小山ゆう氏、佐藤優氏、長崎尚志氏の4名(50音順)にて最終選考を行います。
■賞品
表彰対象は、該当作品のシナリオライター・作画家・担当編集者(または編集部)の3者とします。
【正賞】ゴルゴ13像トロフィー(シナリオライター・作画家・担当編集者)
【副賞】50万円(シナリオライター・作画家)
−第1回−
−第2回−
『イサック』
(原作:真刈信二 漫画:DOUBLE-S)講談社「月刊アフタヌーン」連載
第2回さいとう・たかを賞 レポートブック(ebook Japan)
【さいとう・たかを賞受賞者インタビュー】設定の魅力を惹き出し、かっこいい男を描く――『イサック』荒井均さん
−第3回−
『レイリ』
(原作:岩明 均 漫画:室井大資)秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載
第3回さいとう・たかを賞 レポートブック(ebook Japan)
【さいとう・たかを賞受賞者インタビュー】ラブレターを送るような気持ちで――『レイリ』室井大資さん
−第4回−
−第5回−
−第6回−
−第7回−
−第8回−

















